「五月」で有名な片山晃さんが書いた本「勝つ投資 負けない投資」を読みました。
株価は「利益」が上がっていけば株価も単純に上がるものだと思っている人、もしくはなんで株価が上がるのかよく分かってない人は絶対に読むべき本です。
ぼくはわかってるつもりでしたが、とんだ勘違いだと判明。自分が投資した銘柄の株価が思ったよりも上がらない理由がこの本を読んでわかりました。なるほど。
「いつかのトレンド」ではなく「今のトレンド」
ラオックスという老舗の家電量販店の株価は2014年の終わりから半年後には7倍に急騰しました。この企業は家電量販店としては競争に敗れてしまったのですが、その後の再建の過程で中国の同業大手の傘下となり、中国人観光客をターゲットとした免税ビジネスに事業を大きく転換していました。
そこに円安の追い風が吹いて一躍「インバウンド銘柄」の筆頭格となり、実際に8期連続の赤字から、一転して17・3億円の営業利益を叩き出す成長株へと変貌を遂げたのです。
最近よくテレビで見る「中国人の爆買い」の風景。尋常じゃない袋を持った中国人を見たことがある人も多いでしょう。
先日東京へ行ったとき、爆買い風景を見ることが出来ました。「おー!ホンモノや!」と感動しつつ横を見ると「Laox」の看板が。
その時はなにも思わなかったんですが、この本を読んで納得しました。この爆買いは狙われたものだったのです。
しかし、免税ビジネスに取り組むまでは業績がよくなかったため、ほとんど注目を浴びてない銘柄でした。
そこには現場で起きてること(爆買い)と投資家の持ってる情報に「ズレ」がありました。それで7倍もの株価上昇が起きたのです。
ぼくは「IoTがナウいぞー!」とか「自動運転車がナウいぞー!」なんて言葉に踊らされて、そういう関連銘柄位を買ったことがありますが、来るのはわかったけど、果たしてそれがいつ株価に表れるか分からないんですよね。結局表れないし。
いつ来るかわからないものをずーっと待ち続けるより、ラオックスのように今変化してる企業を把握して投資するほうが、失敗も少ないし、値上がりを待つ時間も短くなります。
個人の利点を生かして、中小型銘柄を狙う
株は「現在の価値と本来の価値のズレてるものを狙う」とよく本で見るんですが、ラオックスの例はその言葉の意味がよくわかる事例でした。
ただし、注目する人が多い(出来高が多い)大型株に関しては、その価値がすぐに多くの投資家に伝わって株価がそれに見合ったものになります。いわゆる「折り込み済み」ってやつです。
そういう銘柄で勝負しても組織である機関投資家には勝てないので、著者の片山さんは中小型銘柄を狙います。
中小型銘柄は、ラオックスのように「注目している人が少ない」ので、あらゆることが株価に反映されるまでタイムロスがあります。それを狙うのです。
個人投資家が株式投資で利益を得る方法
この投資法を考えると、個人が株式投資で利益を得るためには
- いつ株価が変わるかわからない銘柄を持ち続ける(損する可能性も高い)
- 情報をしっかりと仕入れて、情報と株価のズレを狙う
のどちらかだとわかります。
ただし、前者は再現性がありません。「実力」じゃないってことです。持ってたら偶然上がる可能性がありますからね。一気にトレンドが変わった場合には対応できなくなります。
後者は、「いつ上がるか」さえ外さなければ、下支えとなる情報もあります。ちゃんと思い通りになれば、それは実力と言って問題ないでしょう。
株式投資をギャンブルだと思ってる人が多いですが、片山さんを見れば「知恵のフル活用」だとわかります。株やってない人には伝わんないんですが、わかります。スゴく。
ホントの基本だけどその本質を知れるスゴ本
この本を読み終えて感じたのは「投資の基本」を書いてる本だなぁということ。株を始めた頃に読んでた本に書いてある格言と同じこと言ってるなーと感じました。
ただし、そんじょそこらの投資本と決定的に違うのが、「説得力」です。
格言どおりのことをわかりやすく実際の例に当てはめてみる。しかも、テクニック本ではなく投資家としての「ありかた」が書いてある本なので、普遍的でどこでも使えるものになってるのです。
株をはじめてから、ずっと心にあったモヤモヤが晴れるほど、わかりやすくて説得力がスゴイ。現場で戦ってきた人だからこそ書ける本だと思いました。
「どうして株価は上がるの?」って基本的な問いに真正面から答えられない人は今すぐ読むべき本です。
目次(Amazonより)
はじめに 小松原周
序章 投資家になるということ
第1部 勝つ投資編 ・・・・・・ 個人投資家 片山晃(五月)
第1章 デイトレはそろそろ限界かもしれない
第2章 株式投資で勝つための銘柄選別法
第3章 買い方、売り方、見分け方のポイント第2部 負けない投資編 ・・・・・・ 機関投資家 小松原周
第4章 株式投資のキホン
第5章 プロはこうして銘柄を選ぶ
第6章 ポートフォリオの組み方と勝つ投資家のメンタルあとがき ~投資の魅力とは~ 片山晃 (五月)