無職の友人に頂いた仕事本。ありがとう友人。
恐らく自分が見つけても買うことがなかったであろうこの本。働き始めて3年しか経ってないけど、それでも多々感じることがある本だった。
仕事、してますか?
そんな問いかけを常にされているような感覚になりながら読んだ本だった。まえがきからハッとさせられるような文章に出会う。
建売住宅の扉は、開け閉めのたびに薄い音を立てながら、それをつくった人たちの「こんなもんでいいでしょ?」という腹のうちを伝える。
P.9
仕事において「こんなもんでいいでしょ?」と思ったことはある。電話対応に追われ、日付をまたぎそうな時。就業時間後に予定が入っている時。
本書はそんな考えを全く持たない人たちの「仕事に対する考え方」にフォーカスしている。本書に出てくる人達は、仕事を「自分のもの」にしている。素晴らしい仕事をするために必要なのはそれだけだと思う。その考え一つで結果が恐ろしいくらい違ってくるのだろう。
人間の能力の差よりもその考えがアウトプットの質を左右する。
やらされてる感覚を持ってしまうと、それはもうお金を稼ぐだけの仕事になってしまう。もちろんそれは全く悪くないと思うけど、たぶん全然楽しくない。
やらされた仕事も、自ら進んでやった仕事もあるけど、やらされてる仕事ってホント楽しくないし、月曜日が嫌いになる。やらされることが慢性化すると諦めが出てきて、朝の満員電車の中で死んだ顔になるんだろうか。
自分を守るはずだった「こんなもんでいいんでしょ?」という考えが自分を追い詰めているのだと気づいた時、ぞっとした。
ワークライフバランスは仕事をやらされてる人のためのもの
仕事とプライベートのバランスを上手くとろうね。みたいな考え方が当然のようにひろまってるけど、こういう考え方のせいで、月曜日が嫌いになっていくような気がする。
仕事は仕事、プライベートはプライベートって分けてるから「こんなもんでいいんでしょ?」って思ってしまうし、就業時間が朝9時から18時までって決まってるから苦しくなってくる。仕事を「する」姿勢は、そういったルールがある以上はなかなか生まれにくいものだと感じる。
なんかサラリーマンって難しい職業な気がしてきた。
だからって休息をとるなっていう、ワタミ理論にはならなくて、むしろずっと休息かつ働いてるってのが理想。仕事とプライベートっていう区別がいらないよねって話。
安すぎる製品はトキメキ料が割引されてる
本書を読み終えた時、安すぎる製品はトキメキ料が割引されてると考えるようになった。人の心を掴む仕事とは「考えが細部にまで行き渡っている」仕事のことを言うのだと思う。
iPadがタブレットの売上1位の座をASUSのタブレットに奪われたとニュースになった時、「iPad負けたねー、泣きそうでしょ?」って言ってきた人がいたけど、そもそもランキングを気にしている人が実際にいることに驚いた。
きっとそのタブレットは安いし、普段使いには不自由しないのだろう。けれどそれが1位になったからといってiPadが嫌いになるかというと全くそうはならない(というか1位だと知らなかった)。Appleの細部へのコダワリが生む、デバイスの質感や、iOSのヌルヌル感が好きだからだ。
iPadはタブレットの中では値段が高い部類に違いないけど、そういう他社にないものを持っているから僕は躊躇せずにiPadを選択する。もちろん、iPadより魅力的な製品が世に出てきたら躊躇なく乗り換える。
スノーピークの山井社長の本を読んでその考えがさらに強まってきている。
目次(Amazon)
1 働き方がちがうから結果もちがう
(八木保さんをサンフランシスコに訪ねる象設計集団を北海道・帯広に訪ねる ほか)2 他人事の仕事と「自分の仕事」
(植田義則さんのサーフボードづくりを訪ねる甲田幹夫さんのパンづくりを訪ねる ほか)3 「ワーク・デザイン」の発見
(新しいオフィス像を探そう「オフィス・ランドスケープ」 ほか)補稿 10年後のインタビュー
(馬場浩史さんを益子に訪ねる
甲田幹夫さんを上田に訪ねる)