低所得者にお金を渡せ! -書評- 日本の景気は賃金が決める
アベノミクスって一体何よ?ていうかデフレを脱却してどうなんの?
と思っている人には本書は「分かる」本であり、読むべき本だと断言できます。僕が証人。
お金を派遣(低所得者)や女性に回すのが効果的
数ある情報の中でも興味深かったのは、お金を「誰に」回すかについて。
お金持ちとそうでない人では、後者のほうがお金を貯めずに使うのですが、驚いたのはその比率について。お金持ちは所得の5割を消費に使うけど、そうでない人は8割以上。金額ではお金持ちの方が消費していると思いきや、金額に関しても上。
経済成長=どれだけお金を回すかなので、誰にお金を渡すべきなのかは明らか。お金をよく使う低所得者(飲食業、宿泊業の女性が良い)にお金をふんだんに渡し、所得の格差を小さくするのが日本の経済成長(=給料増加)には欠かせないようです。
バブルを日本で起こせ!
1980年代後半のバブルも2008年頃のアメリカのバブルも日本の金融政策によって起こったものだそうです。それなのに08年に日本の経済が落ち込んだのは、バブルが起きた「場所」が違ったからとのこと。
1980年代後半、日本でバブルが起きた時は、純粋に会社の利益が増えて賃金が上昇したそうなのですが、2008年にアメリカでバブルが起きたときは、資源(石油)に需要が起こりました。
石油の値段は上がっても、企業の利益に還元できないために、日本はバブルが起きるどころか不況になってしまいました。
バブルを起こす場所によって、僕たちの生活はガラッと変わってしまいます。
大事なのはモノの値段を上げるのじゃなくて給料を増やすこと
アベノミクスでは物価を2%上げることを目標にしてますが、2008年頃のアメリカのバブルで、日本は石油価格の上昇によって消費者物価自体は2%上がったものの、賃金は下がってしまったそうです。
これじゃ意味ない…
資源価格の高騰は、原料価格の上昇を価格に反映できる企業が少ない(中小企業が多い)日本では、マイナスになります。なので、むやみに物価を上げるのではなくて、「何に対して」物価を上げるかが重要だそうです。
そこがアベノミクスは曖昧だ、と著者は主張しています。
本当に必要なのは、モノの値段を上げるんじゃなくて、給料を上げること。
ーーー
「経済」ってワードがすでに難しそうな感じを醸しだしていて、アベノミクスを知らず嫌いしてましたが、本書はそんなアレルギーをふっとばすほどの優しい構成になってます。
図表を使う利点をここまで感じる本は久しぶりです。
わかった気になる経済ではなく、わかる経済を。
目次(Amazon.co.jpより)
序章 賃金格差を縮めれば、日本の景気は回復する
第1章 日本経済の現状――過去60年で最悪でも、世界では優等生?
第2章 日本銀行の罪――過去の金融緩和が賃金デフレを深刻にした
第3章 金融政策のキホン――どのようにおこなうのか?
第4章 金融緩和と公共事業拡大――効果を高めるには?
第5章 賃金デフレと賃金格差――賃金格差解消なくして、景気回復なし
第6章 人を集めてサービス消費を増やせ――地価上昇を利用しよう
終章 生活ダメージを抑えてインフレ目標を達成する方法
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