禁煙できない理由 -書評- 急に売れ始めるにはワケがある
2012/12/15
心の芯の部分を何度も何度もつついてくれた名書、WHYから始めよ!ですが、そこに登場していた本も結構興味深くて読んでみたところビンゴでした。
本書では、かつて犯罪多発都市だったニューヨークの犯罪率をものすごい勢いで減少させた「割れ窓理論」のように、小さな変化が大きな結果をもたらすのはどういう時なのか?ということをわかりやすく書いてくれています。
一見全く関係ない出来事が「マーケティング」にも応用できると知って、結構衝撃です。
目次
とは言っても、この記事1つで書けるほどの薄い内容ではないです。というかかなり濃い内容だし、文庫本なので900円弱とかなり安いので是非読んでいただきたいと思います。
そんなわけで目次を(Amazonより)。
はじめに ティッピングポイントとは何か?
第1章 爆発的感染、その3原則–ティッピング・ポイントへ至る指針
第2章 「80対20の法則」から「少数者の法則へ【原則1】–感染をスタートさせる特別な人々
第3章 粘りの要素【原則2】–情報を記憶に残すための、単純かつ決定的な工夫
第4章 背景の力【原則3】–人の性格に感染する背景
第5章 「150の法則」という背景–人の行動に感染する効果的な集団の規模
第6章 商品はどのようにして感染するのか?【Case study 1】–エアウォーク社の販売戦略から学ぶこと
第7章 自殺と禁煙【Case study 2】–ティーンエイジャーの感染的行動の謎を探る
第8章 ティッピング・ポイントを押せば世界は傾く–焦点をしぼること、実験すること、そして信念を持つこと
喫煙と鬱との相関関係
本書で一番印象に残ったのが「禁煙できない=鬱病と関係が深い」可能性があるという点です。
まず鬱病ですが、
鬱病の原因の一つとして、脳内にある種の化学物質を発生する機能に障害が生じることが考えられている。
とりわけセロトニンとかドーパミンとかノルエピネフリンなどの神経伝達物質がそれにあたる。
P.327
これは鬱病が結構身近になった今では知っている方も多いと思います。が、「それがなんでタバコ吸うことと関係あんの?」という疑問が浮かびます。
タバコを吸うと落ち着くということは喫煙者の話を聞くと明らかですし、禁煙できない理由はニコチンが邪魔しているから、ということはCMなどを通して広く知られているはず。しかしそうでない場合もあります。
ニコチンは、他の二つの神経伝達物質ードーパミンとノルエピネフリンーと全く同じ働きをしているという。
中略
一部の喫煙者にとって禁煙が難しいのは、ニコチン中毒になっているだけでなく、ニコチンがなければ精神病を悪化させかねないからである。
P.328
とのこと。
タバコを止めるにはニコチン中毒をどうにかして止めればいいと思っていましたが、鬱病にかかり、精神が弱っている人はニコチンではなく、精神を治療できれば禁煙できるかもしれないそうです。
落ち込んだことをキッカケに喫煙を始めた人は要注意??
タバコを継続して吸い続けるまでには、いろんなケースがあるそうですが、なにか落ち込んだことをキッカケにタバコを吸い始めた人は要注意かもしれません。
ストレス社会とか言われている最近では、鬱病の患者数も増えています。ということは、そのような喫煙者の割合も増えているはず。
よく喫煙所を削減だとかタバコの値上げだとかが報道されていますが、そういうことを踏まえると、タバコを吸える機会を意図的に少なくしていくというのはいいことばかりではないように思います。
さいごに
本書をを読むまで、喫煙者が減ることは他人への害を減らすことができるからいいのではないか、と思っていましたが、物事にはウラがあるようです。
こういうことは喫煙者もその周りにいる人も知っておくべきことだと思うので、そういう意味でも本書はWHYから始めよ!と同じように結構衝撃的なことが多く書かれていました。
マーケティングを社会の出来事から考えるってのはおもしろすぎました。
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