「楽しさ」は「考え」の先にある。世界を歩いて考えよう!
2012/06/26
社会派ブロガーで大活躍のブロガー、ちきりんさんの最新刊が出ていたので読んでみました。
「世界を歩いて考えよう!」という本で、タイトルの通り、世界を旅するのが好きなちきりんさんが、印象に残った名所を紹介している本です。
ただ、どこにでもある旅行本とは全く切り口が違っていて、「考える」ことを前面に押し出した本になってます。
それがとんでもなく面白い。旅を楽しむことの本質が書かれています。
現地の状況を「考え」て「楽しむ」
僕もそうですが、大抵の人は、旅をする時に名所の美しさとか絶景に感動して終わってしまいます。
名所を訪れるまでに見るであろう、現地の人達や町の雰囲気などは、目的地へ到着するまでに通るだけの場所として考えてます。
でも、ちきりんさんは違っていて、現地の人々を見て背景の歴史を考えるという楽しみ方をしています。
ミャンマーでは昔、4人以上の人を乗せないと車を動かせないという決まりがあったそうです。当時のミャンマーではガソリンが非常に貴重な資源のため、無駄遣いができないという状況でした。
その時に、ちきりんさんは「貧しさ」についてこう述べています。
本当に貧しくて困った状態というのは、「それがお金の問題ではなくなった時」なんだと気がつきました。
via.P194
普段日本に住んでいると、「お金持ちの人」と「お金を持っていない人」の2通りに視点が行きがちです。
でも、日本はお金さえあれば資源は買えるし食料も買える国です。それが保証されている国というのは、とても豊かなんだということでしょう。
どれだけお金も持っていても好きなモノが手に入らない。そんな状況を直に体で感じることができるのが「旅」の醍醐味なのだと教わりました。
学ぶための旅はいらない
本書ではちきりんさんの考えが「これでもかっ!」ってくらいに書かれているんですが、最後の文章を見て驚きました。
「何かを学ぶため、視野を広げるため、成長するため、強くなるため」に旅行するなんて邪道です。
via.P245
僕から見ると、旅をしているちきりんさんが、現地での出来事について真剣に考えているのは、「視野を広げるため」にしか思えません。
でも、本人は視野を広げようと思っているのではなく、ただ単純に「どういうことだろう?」と、疑問が芽生えているだけのようです。
「どういうこと?」という、ごく単純な疑問があって、それを純粋に考えることのほうが、楽しめるし、印象に残るんだなぁと。
そう思うと、赤ちゃんに生まれて成長するまでに「学ぼう、視野を広げよう」と思いながら物事を考えることなんてないはずです。
ちきりんさんもそれと同じなんだと思います。
学ぶために旅行したって、本気で「知りたい」と思っている人にはかなわないし、なによりそんな動機で勉強しても楽しくないはずです。
ちきりんさんの意見にはいつもハッとなります。
さいごに
僕は特別ちきりんさんのファンというわけじゃないのですが、何故かちきりんさんの出している本はすべて持っています。
というのも、ちょっと立ち読みしてみるだけで、一気に読むのが止まらなくなるからです。
それはまさしく、ちきりんさんが物事を自分で考えて、他の人とは少し違う意見を持っているからでしょう。
人が言っていることをそのまま頭に入れるんじゃなくて、ちょっと自分で考えてみる。そういうのが大切だと思える1冊です。
第1章 お金から見える世界
第2章 異国で働く人々
第3章 人生観が変わる場所
第4章 共産主義国への旅
第5章 ビーチリゾートの旅
第6章 世界の美術館
第7章 古代遺跡の旅
第8章 恵まれすぎの南欧諸国
第9章 変貌するアジア
第10章 豊かであるという実感さいごに 旅をより楽しむために
若者の海外旅行離れについて~あとがきにかえて
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