デキる人とかデキない人とかよりも、自分の夢がないことの方が問題なのです
2012/04/13
Design Pattern Business Cards / Michael Kappel
前代未聞のビジネス書ブーム。
実際に、出版社がかなりビジネス書に力を入れてるようですが、中には歴史あるビジネス書の名著から一部分を引用して作られたような、いわゆる「質の悪いビジネス書」なんてのも出回っているようです。
そんな今の状況はいかがなものか!と、思う方もいる一方、僕はそんなに悪い事だらけでもないと思っています。
ビジネス書を読んでデキる人になるかデキない人になるかということよりも、知らなかった世界を知れるようになることのほうが、遥かに重要なコトだと思うのです。
というわけで、ビジネス書を視点を変えて読んでみるというのはいかがでしょう。
人間は自分の頭の中にある範囲でしか物事を想像できない
将来どうなりたいかを頭に思い浮かべてみてください。そしてそれを実現させるにはどんな方法があるかを言ってみてください。
そう言われて想像しても、自分の頭の中には、今まで蓄積してきた経験や知識以上のものは考えつきません。
人間は自分の頭の中にある範囲でしか物事を想像できないのです。言い換えれば、物事を知らない分だけ自分の可能性を狭くしているようなものだといえます。
「この中に書いてあることは全部知ってる」って本は結構見つからないものです。それなら知らないことを1つでも知れるのなら、それは無駄ではないんじゃないかと思うのです。
もちろん、質の高い本というものは間違いなくあるし、下手なビジネス書を読むよりもそっちを読んだ方がいいのは確実でしょう。
それでも、平凡なビジネス書を読んで、仕事とかプライベートを楽しく過ごせるヒントとかを感じられるなら、決して無駄なことではないはずです。
デキる人を見るより、デキることを見よう
ビジネス書を何冊読んでも何万冊読んでも、読んでるだけではなにもデキるようにはなりません。
でも、読んでるだけでも、「こんな生き方あるのか」なんてことはいくつでも知ることができます。
読んで得た知識をすぐに行動に移そう!と思っても、人は習慣を一気に変えることはできません。悲しいですが。
でも、生き方に対する考えの幅を広げることはできます。そしてこの幅を知ることってのは結構重要なことだったりします。
僕のこれまでのミュージシャンを目指す人のイメージは、バイトしながらボロボロのアパートに住んで、なけなしのお金でライブハウスに出る、というようなものでした。
けれど今ではSNSやニコニコ動画など、インターネットを通じて自分を発信できるようになりました。
それによって、昼は会社で働き、夜は曲を作って、完成したら公開。なんてことを続けてる内にデビューしちゃった、なんて例も十分あり得るようになりました。
自分の存在を広めるコストが異常に下がったのです。
そういうことを知っていると、精神的にとっても楽になります。
少しずれてしまったかもしれませんが、「不可能だと思っていたことができそう」ってことを知り、考えの幅を広げられるという最大のメリットを、ビジネス書は持っていると思います。
bbb low-cost housing, tegnestuen vandkunsten / seier+seier
とにかく気になったら読んでみる
手にとった本が自分にとって有用なのか無用なのかを疑う暇があるなら、まずは読んでみて判断すればいいと思います。というか、読まないとわからないです。
世界中の人が絶賛していても、自分に響いてくるものがなければただの紙だし、Amazonのレビューが最低でも、内容が自分に響いてくれば、それは自分にとっての正解です。そこから少しでも自分を変えられたというのなら、それはもう大正解なわけです。
そういうことをちょびっと考えながら、僕は今日もワクワクしながら本を読んでます。とにかく気になったら読んでみるの、おすすめです。
おわりに
今回紹介した本ですが、著者もめちゃくちゃビジネス書を読んでらっしゃるようで、かなり勉強になりました。ビジネス書のはじまりとか、どこからビジネス書の乱発が始まったのかなどが詳細に書かれていて、かなり面白かったです。
ビジネス書を読んで息苦しくなるのは、すぐに読んだ内容を形にしようとするからじゃないかと思ってこの記事を書きました。本を読んで息苦しくなるのは本末転倒です。
そんなときこそ、「読むだけ」の威力を感じると超ラクになります。
目次(Amazonより)
第1章 ゼロ年代のビジネス書幻想
ビジネス書で扱われるトピックはバリエーション豊富/ビジネス書は低迷する出版市場の救世主?/不況だからこそ売れる「ビジネス書」/書き手不足……とはいうものの/ベストセラーランキングで振り返るゼロ年代ビジネス書の歩み第2章 ビジネス書の掟と罠
自己啓発系ビジネス書のクラスチェンジ/本の薄利多売戦略を支えるジャンル/自己啓発・成功本におけるお約束のストーリー/自己啓発のルーツを辿る/イデオロギーとしてのポジティブシンキング/『学問のすゝめ』と並ぶベストセラー『自助論』/もはや教典の域に達した『7つの習慣』/『7つの習慣』のエッセンスを知る/ビジネスシーンに多大な影響を与える『7つの習慣』/アメリカ的自己啓発のビッグビジネス/どこか唐突だった「ライフハック」ブーム/「Getting Things Done」という概念/ライフハックと自己啓発の類似性/日本におけるライフハックの牽引役とは?第3章 「ビジネス書」というビジネス
ビジネス書は斜陽産業を支える“優良商材”!?/大手出版社よりも中小出版社に注目/「良本であれば余計なことをせずとも売れる」という奢り/売れてしまえばこちらのもの……かもしれないけど/ヒットしている本をパクれ!?/ビジネス書を書きたがる理由/パーソナルブランディングとしてのビジネス書作家/ビジネス書作家になりたい人たち/ビジネス書作家エージェント/コンサルタントの怪気炎/売るための努力を怠らないビジネス書村の住人第4章 ビジネス書に振り回される人々
年収が高い人ほどビジネス書を読んでいる……とはいうものの/現場のビジネスマンたちの証言から見えてきたもの/「どんどん読んでアウトプットせよ!」というアジテーション/“無い袖”をムリに振ってでも読まなきゃダメ!?/ビジネス書を読むのは「置いていかれたくない」から/そして今日も、ビジネス書は不安感を煽る第5章 “そこそこ”賢いビジネス書とのつき合い方
「意識の高いビジネスパーソン(笑)」のようなもの/「ビジネス書中毒」からの生還/そもそも、なんのために読むんだっけ……?/結局、本質はいまも昔も変わらない/スタイルばかり真似したところで……/「自己啓発」という名の麻薬/「量よりも質」を重視した読書/目次は途中や読後にも読むべし/内容にツッコミながら読む愉しみ/読むんだったら日本の偉人本・社長本第6章 ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない
「成功」ってなんなのさ/「いま、目の前にある仕事」を粛々と……/ビジネス書を書く資格/ビジネス書からの「卒業」
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