子どもの時に持っていた情熱を燃やし続ける方法 – 理系の子
2014/01/15
HONZで2012年No1書籍として注目を浴びた「理系の子」。お正月休みを利用してやっと読めました。
「科学オリンピック」と呼ばれる、インテル国際学生サイエンスフェア(ISEF)に出場する11人の高校生の話です。ISEFは、高校生が科学の自由研究を発表する場という感じなんですが、自由研究といっていいのか迷うくらいレベルが高いです。
ある少年は核融合炉を作ったり、ある少女はハンセン病が治る過程を研究したりと規模が違います。その規模の大きさにも驚きますが、何より本書がスゴいのはそれぞれの少年少女の物語です。グッとくる物語に惹きつけられっぱなし間違いなしです。
一心不乱に取り組むこと
優勝賞金総額400万ドルを争って行われるISEF。優勝者には7万5000ドルの賞金が渡されるというのだから、その凄さがわかると思います。
驚いたのは賞の受賞者です。本書に出てくるのは天才肌タイプの子というよりかは、貧乏の子や恵まれない環境の子ばかり。逆境の中でも、科学に出会い、魅了され、一心不乱に研究を続けるうちに、世界に類を見ないものを作り上げてしまうことがあるのです。
身内が働く企業が汚染水を排出していると知った少女ケリードラは、家族から大反対を受けながらもその実情を調査し、改善する方法を研究します。一番信頼を受けられるべき家族から反対されても「知りたい」という気持ちだけには嘘を付けない少女の正直な心、一心不乱な姿には心打たれます。
大人になると「こんなことをして何が得なの?」と、損得勘定で動いてしまうことも多くなりますが、それを抜きにして一生懸命やることがどれだけスゴイものを生み出すのかを知ることができます。
環境のせいにしないこと
車のラジエーターと空き缶を使って太陽光発電システムを作ったギャレット少年の話はとても印象的でした。故郷ピニョンは半数以上が貧困層。冬場は気温が氷点下以下に下がるのにもかかわらず、屋根や壁には穴が空いているという現状。暖房器具である石炭ストーブは、妹が喘息の発作を起こしてしまうため使えない。
ある日、サイエンスフェアが開催されると聞いたギャレット。街にはピニョンにはない高層ビルとレストランがあると聞くやいなや参加を表明しました。テーマは石炭を使用しない暖房器具の発明です。
暖房器具というと、電気が必要だったり、いくつもの精密機械を組み合わせないと作れないと思いきや、ギャレットが作ったのは壊れた車のラジエーターと69個の炭酸飲料が入った空き缶を組み合わせたものでした。家の気温は7度上昇し、妹の喘息も治まりました。
どれだけ環境が貧しくて恵まれなくても、今の状況で自分は何ができるか考え、それを実行に移すことができれば、誰にも成し得ないことができるのでしょう。
やりたいことをやること
ボランティアで補助教員の仕事をしたことがあったので、いくつか心得ていることはある。たとえば、学校ではできるだけ子供たちに暇な時間を与えないようにしていること。だが、子供たちにやる気を起こさせるには、忙しく追い立てる以外にも方法はあるだろう。そこで、アマンダは別なやり方をとることにした。
「やりたいことをやるというのはどう?」
P275
ここから生まれたのが第二のビル・ゲイツと呼ばれているフィリップ少年です。フィリップ少年は、母アマンダから自宅学習を受け育ちました。その時の学習方針が「やりたいことをやる」だったのです。
フィリップはその言葉を受け、グラフェンという素材の研究に乗り出します。グラフェンを上手く作ることができれば、スーパーコンピュータを爪ほどの大きさに縮めることができるし、効率のよい太陽電池を作り出すこともできます。フィリップは現在、グラフェンを使ったソーラーパネルの開発を行う会社を所有しています。
「やりたいことをやる」というのは、上に挙げた「一心不乱に取り組むこと」と「環境のせいにしないこと」を両立させて初めて成り立つものです。一生懸命取り組まないのに、やりたいことが見つからないというのは、当然のことでしょう。
まずは、できることをやってみる。そこから情熱は生まれるのかもしれません。
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