最近よく聞く「ノマド」について -書評- ノマドと社畜
長時間の電車に揺られる旅に備えてKindleで購入した本書。
最近僕のTLは著者のメイロマさん(@May_Roma)で賑わっています。
サラリーマンを社畜と罵り、ノマドがもてはやされてる感があるこの頃。安易な「ノマド」を批判しつつも、ノマドとして生きていくための心得をメイロマさんが語っております。
今のところノマド化する予定はありませんが、読んでみました。
知ってることが多々ありましたが、中にはへぇー、と思える内容もあって、気軽に読むことができました。
「ノマドセミナー」なるもの
少々前までは、インターネットで「ノマド」を検索すると、「電源のあるおしゃれなカフェ」「ノマド向けのおしゃれなカバン」「iPad と Macbook Air でノマド完璧」「セルフブランディング」「ソーシャルメディアだけで営業!」といったような、脳が溶けそうな甘いキャッチコピーが湧いてきました。
ツイッターを見ていても、ノマドに関するあまりにも非現実的なつぶやきが少なくないので、驚いたことがあります。
No.113
「ノマド」という言葉が独り歩きしている日本では、それを夢見る人をターゲットにした「ノマドセミナー」なるものが存在するらしいです。
とにかくノマドにさせることを勧め、関連する商品を買わせるというのがそのセミナーの手法らしいのですが、ウソだとしか思えないようなことばかり。
「簡単に自由になれる」とか「人生なんとかなるもんだ」とか思ってる人は騙されちゃうのかもしれません。
海外でノマドとして働く人が多いのには理由がある
なぜ、北米や欧州でノマド的な働き方が増えてきたのか、なぜノマド的な働き方は可能なのか。行政はどんな支援をしているのか。どのような法律や税制上の控除があるのか。なぜ企業はノマド的な働き手を雇うのか、どのようにしてフリーランサーや個人事業者を雇ってうまく管理ができるのかなどを、十分調べなくてはなりません。
No.157
アメリカやイギリスなどはフリーランスとして生活しているひとがかなり多いらしいのですが、それには理由があり、会社までの交通費は労働者が負担する場合が多いとか、「個人主義」の風潮があるとかが主のようです。
それよりなにより、日本と違うのが国の支援。
これらの国が「契約社会」であるからです。フリーランサーや個人事業者が雇われる際には、仕事の発注元と事前に責任分界点(役割分担)、成果物、納期、仕事のやり方、守秘義務などを事細かに決めます。
No.341
雇われた先で突然残業を命じられるとか、契約にないことをやらせるといったことをすると、企業は多額の賠償金を払わなければならないそうです。
日本にはそんな保証はないし、自分の会社に限って言えば、仕事の分担も結構あいまいな感じなので、そもそもの環境が違うようです。
能力だけが評価基準
企業に「雇われずに働く」という意味のノマドに関しては、私はフリーランスや個人事業者として仕事を継続的に取ってきて食べていける「能力」のある人にしか勧めたくありません。
No.831
1人で食べていける能力は今の僕にはありません。なのでノマドが当たり前になる世の中ってのも結構怖いんじゃないかと思ってます。
何か技能や能力を付けるためには働くことが一番いいんじゃないかと思ってるんですが、ノマドが当たり前になることで「職に就く」ということができなくなる気がするからです。
本書でも、お金がないイギリス人家庭はインターンシップすらできず、まともな職にありつけないので格差が固定されてしまってるのが問題視されている、と書かれています。
「今の日本なら何しても生きていける」とはいうものの、こういう問題で高い能力を身に付けられる人が少なくなってくと、「今の日本」はそのままでいられるか分かりません。
僕のような普通の人にとってはなかなかの恐怖。
さいごに
だいたいの内容はよく聞くこととかちょっと考えたらわかる内容だったんですが、アメリカやイギリスの労働環境については知らなかったです。
この本は、ノマドに憧れを持ちそうな僕くらいの年齢の人は知っといたほうがいいんじゃないかと思います。
会社員になって長い人は自分がこの本のようなノマドになれるかどうかってことはなんとなく自分でわかってる気がするので。
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