人生をフルコースで深く味わうために、欠かせないことってあるんだな -書評- 君たちはどう生きるか
2013/01/06
親愛なるすべての人へ
どうも、憧れになろうだなんて大それた気持ちはない@hawk_aです。
心の隙間にそっと風を当ててくれる、素敵な本を見つけました。
年をとるほど深みを感じられそう
New Year postcard / Center for Jewish History, NYC
この本は、コペル君と呼ばれる中学生の少年「潤一」と、その友達、そして叔父さんを中心にしてお話が進みます。
その話のところどころで、むず痒くて普段は思い出さないようにしているけど、「確かに自分は生きてきた」と思えるようなフレーズが出てきます。
何気ない中学生の物語だけどむず痒い。
そして、そのむず痒さを刺激されるポイントが年代によって違うんじゃないかと感じました。
なんというか、過去を教訓にして生きているか、過去をただ痒がって生きているかで、この本を読んだときに受け取る印象が全く違うんじゃないかと思わずにはいられない。
そして、どっちも大切な印象になること間違いなし。
涙の種類
Island of Tears / BBM Explorer
コペル君が、友だちとの大切な約束を破ってしまった後悔の念で、ずっと自分を責め続けているとき、コペル君のお母さんがコペル君に投げかけた言葉が逸品です。
でも、潤一さん、そんな事があっても、それは決して損にはならないのよ。
その事だけを考えれば、そりゃぁ取りかえしが付かないけれど、その後悔のおかげで、人間として肝心なことを、心にしみとおるようにして知れば、その経験は無駄じゃあないんです。
だれでも、「あのときなんでああしなかったんだろう。」と何年経ってもふとした時に思い出すくらいの後悔をすることがあると思います。
その時の後悔のおかげで自分があるのだと少しでも思うことができたなら、その後悔は無駄じゃないということです。
そうやってコペル君という人間が強くなっていく。単なる後悔の涙が、お母さんのその言葉によって、違った種類の涙に変わっていった瞬間です。
ん〜たまらん。
僕はどう生きるか
普段生きているなかで、忘れがちなことをまるで自力で気づいたかのように思い出させてくれます。
ファストフードのような人生か、フルコースを深く味わった人生か、どちらを選ぶか。
これからどう生きようかを優しく考えさせてくれる本。超面白い。
1 へんな経験
2 勇ましき友
3 ニュートンの林檎と粉ミルク
4 貧しき友
5 ナポレオンと四人の少年
6 雪の日の出来事
7 石段の思い出
8 凱旋
9 水仙の芽とガンダーラの仏像
10 春の朝
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